Demantoid Garnet

デマントイドガーネット 緑の炎

ダイヤモンドの名を、緑が継いだ。

ガーネットの一族でありながら、
ダイヤモンドの名を授かった緑の石。
その輝きと、内包物にまつわる物語をたどります。

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デマントイドガーネット

ダイヤモンドの名を
授かった緑

デマントイド(Demantoid)という名は、
オランダ語で「ダイヤモンドのような」を意味するとされています。

光をすばやく虹色に分ける性質、
いわゆる「ファイア」が、
天然の石のなかでもとりわけ強いことから名づけられました。

緑の宝石でありながら、
その輝きはダイヤモンドを思わせる。
ガーネット一族のなかでも、少し特別な存在です。

緑の色と、
ダイヤモンドのような炎。
ふたつをあわせ持つ石。

ウラルの川辺から
皇帝の宝飾へ

物語の始まりは、1850年代のロシア。

中央ウラル山脈のボブロフカ川のほとりで、
鮮やかな緑色の小石が見つかったと伝えられています。

当初はエメラルドやクリソライト(ペリドット)と
混同され、「ウラル・エメラルド」などと
呼ばれていたという逸話も残ります。

その後、フィンランドの鉱物学者によって
ガーネットの一種であることが見いだされ、
「デマントイド」と名づけられたとされています。
(発見年・命名年には諸説あります)

帝政ロシアの時代に愛され、
革命を境に流通はいったん途絶えますが、
現代になって再びその姿を見せています。

1850s ウラル山脈で発見
ボブロフカ川流域。当初は緑の小石として拾われたと伝わる
1860s
–70s
同定と命名
ガーネットの一種と判明し「デマントイド」と名づけられたとされる
1885
–1916
ファベルジェの時代
ロシア皇室御用達の宝飾家が作品に用い「皇帝の宝石」と称される
1917 革命と中断
ロシア革命を境に採掘・流通が停滞
1996
産地の広がり
ナミビア、のちにマダガスカルなど新たな産地が加わる

傷ではなく、
その石が歩んだ証

多くの宝石では、
内包物は少ないほどよいとされます。

けれどデマントイドには、
馬の尻尾のように放射状に広がる
繊細な繊維状の内包物が見られることがあります。

「ホーステール」と呼ばれるこの模様は、
石が地中で育った環境を映すものとして、
肯定的に受け取られることがあります。

通常は避けられる内包物が、
この石では個性として愛される。
そんな珍しい立場を持つ宝石です。

Horsetail — ホーステール

馬の尻尾のように見える繊維状の内包物のこと。蛇紋岩を母岩とする産地で見られる特徴とされ、ロシアのほかイランでも確認されています。「ホーステールがあれば必ずロシア産」というわけではない点が、近年あらためて知られるようになりました。

デマントイドガーネットのホーステール・インクルージョン
中心から放射状に広がるホーステール

なぜ、
緑が燃えるのか

デマントイドの緑は、
主にクロムという成分に由来するとされています。

そして、この石の最大の見どころが「分散」。
光を虹色に分ける度合いを示す数値で、
デマントイドはダイヤモンドより高いとされています。

鮮やかな緑のなかに、
赤や青の小さな閃きがまたたく。
色とファイアを同時に楽しめる、めずらしい石です。

濃いグリーンを好む人もいれば、
ファイアの見えやすい明るい黄緑を好む人もいて、
評価の好みは分かれるとされています。

Dispersion — 分散
0.057
Demantoid
vs
0.044
Diamond
光を虹色に分ける度合いを示す数値。デマントイドはダイヤモンドを上回るとされ、強いファイア(虹色のきらめき)の源になります
6.5 – 7
Hardness — 硬度(モース)
日常使いは可能ですが、ぶつけ傷には配慮したい範囲とされています
Cr
Cause of Color — 発色
主にクロムによる緑。産地により鉄の影響で黄緑〜オリーブを帯びることもあります

ウラルから、
世界へ

かつては「ロシア産が最上」とされてきましたが、
近年は産地・色・透明度・輝きを総合的に見る流れへと、
評価の考え方が少しずつ変わってきているとされています。

現在の主力

ナミビア

グリーンドラゴン鉱山ほか

明るい黄緑 強いファイア 透明度が高い

1996年以降に重要な産地となりました。透明度が高く、ファイアが見えやすいのが特徴とされ、ホーステールは少ない傾向にあるとされています。

新しい供給源

マダガスカル

アンテツァンバト

黄緑〜オリーブ スカルン起源

2000年代後半に見いだされた比較的新しい産地。黄緑からオリーブグリーンの色みを持つものが多く、研究例も増えているとされています。

学術的に重要

イラン

ケルマーン州ほか

ホーステール確認例 蛇紋岩起源

ホーステールが確認される産地のひとつ。「ホーステール=ロシア産」とは言い切れないことを示す、宝石学的に興味深い産地とされています。

このほか、パキスタンなどでも産出が報告されています

小さくても、
稀な石

デマントイドは、大きな結晶が育ちにくい石とされています。
カット後に1カラットを超えるものは少なく、
大粒になるほど出会いがめずらしくなっていきます。

〜1ct 市場に出回る石の多くがこのサイズとされています 標準的
1ct + 1カラットを超えると、ぐっと数が少なくなるとされます 希少
2ct + 良質なものは、かなりめずらしいとされています 非常に希少
3ct + コレクターが探し求める、別格のサイズとされています 別格

石を、
確かめる

産地や処理の有無は、専門の鑑別機関によって調べられます。

デマントイドは産地によって色やインクルージョンの傾向が異なり、
近年は産地を見分ける鑑別への関心も高まっているとされています。

購入の際は、信頼できる機関のレポートを
参照することがすすめられています。

GIA

Gemological Institute of America(米国)

国際基準 天然性の確認 研究実績

鉱物名や天然・合成の別、処理の有無を国際基準で証明する機関。 研究と鑑別の両面で世界の指標を示してきました。 日本からも依頼しやすく、最初に挙がる選択肢の一つとされています。

GRS

GemResearch Swisslab(スイス)

産地証明 独自基準 色の評価

色石の産地証明に定評のあるスイスの専門機関。 独自の色グレード基準でも知られ、 産地や色の細やかな評価が求められる石で参照されることがあります。

CGL

中央宝石研究所(日本)

国内最大手 日本語証明書 確認しやすい

日本国内で最も流通実績のある鑑別機関。 国内での購入・取引において確認しやすく、 日本語での証明書発行に対応しているのが心強い点です。

Demantoid — A Stone for You

デマントイドは、
完璧な透明さを
競う宝石ではありません。

内包物さえも物語として
受け取れる宝石です。

色の深さに惹かれるのか、
虹色のきらめきに惹かれるのか、
石が歩んだ証に惹かれるのか。

惹かれる理由は、
人それぞれでいい。

それが、あなたにとっての
いちばんのデマントイドかもしれません。

※ 鑑別書は石の性質・産地・処理状態に関する専門機関の見解を示すものです。価値の保証を意味するものではなく、鑑別機関により判定方法・表記が異なる場合があります。購入の際は複数の情報を参照されることをお勧めします。

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